sh_universe’s blog

広島県在住。メーカー研究職。1児の父。

お世話になった人との別れ

塾講師のアルバイトで3年近くお世話になった社員の方が,つい最近退職した

異動ではなく,退職

30歳を過ぎた女性で,かなり細身な部類に入る自分さえも心配になってしまうくらいに痩せていて,猫背ぎみで,いつも緊張感の抜けないような構えをしていた

仕事中は厳しくても,就業時間を過ぎると個人的な話やグレーゾーンに入りそうな話もしてくれて,社会人として働くことの大変さ,責任の重さを近くにいた自分はうっすらと感じていた

辛いときも笑顔を絶やさないで,決して精神論を語るわけではないけど,前向きで,どんなときも平常心で,落ち込んでいるところを見せることがなかった

社会人にとって,退職とはどういうものなのか,まだ学生の身分しか経験のない自分にはわからなくて,本当は聞きたいことがいろいろあったのに,表面的な,大して気にもならないようなことしか聞けずに別れを迎えてしまった

ほんとうに聞きたかったのは,どうして退職に至ったのか?ということで,長い間近くにいた身としては,現状の何かに不満だったのか,将来像が描けなかっただけなのか,それとももしかしたら自分も退職を決断させたその責任の一端を担っていたのか,そんなことが気になってしまって,怖くなって結局何も聞けなかった

ただ,感謝を気持ちを伝えたいことがいっぱいあったし,謝らないといけないこともあって,でもゆっくり話す時間もなくて,人生でおそらくはじめて,便箋に手紙を書いて「お世話になりました」と言って手渡した

一番伝えたかったのは,「忙しくなりそう」という理由で辞めようとしていたところを引き止められて,当時は迷惑に思っていたけど,今になってみると感謝しています,ということで,結局最後まで面と向かっては言えないことだった

そのときの自分は,所属していたサークルのことで問題を抱えていて,どうにもできないまま時間ばかり過ぎていってしまっていた頃だったので,「こんな自分でも,必要としてくれる人がいるんだ」と救われたような気持ちになった

だからそのことは感謝しないといけないとは思っていたけど,とても話せるようなことではないので,手紙にでもしてみようかという気持ちで書いて,あとは勢いで渡してしまった

あの手紙がちゃんと読まれているのかもよくわからないし,実は意図していたことの半分も伝わっていないのかもしれないけど,書いている最中に,「自分ってこんなに分が書けるものなんだ」と気づけたし,今まで手紙を書こうなんて思いもしなかった自分にこんな機会を与えてくれたことも,感謝しないといけないと思った